ジュエリーの季刊誌『BRAND JEWELRY』の山口遼先生(*)の記事に、とても分かりやすくこのことが記述されておりましたのでご紹介します。
「ジュエリーの価値には二つの側面があります。ひとつはそのジュエリーを交換または売りに出した場合の価値、つまり交換価値(評価額)です。もうひとつは、そのジュエリーを使った場合に得られる使用価値です。これは人それぞれですが、所持、使用することによって得られる喜び、満足度ということです。」
交換価値のあるジュエリー
まさしく先生がおっしゃっていることはズバリ、買取店の査定価格です。判定の要素は次の2つ。
- 換金性の高い素材を使っているか?つまり使用している石の品質と地金の品位です。
・ダイヤモンドであればその品質とサイズ。鑑定書の有無。
・色石であればその品質(色や輝き、大きさ、希少性など)。鑑別書の有無。
・メレダイヤの品質。
・地金品位の刻印。 - デザイン性やブランド価値。
ブランドの刻印の有無。ケースや付帯品の有無。
使用価値のあるジュエリー
こちらはジュエリーそのものに対する評価というより、使用者に委ねられる部分になります。
例えば同じジュエリーでも満足度は人それぞれ違います。
「自分が好きであれば良い」という人もいれば、「人に認められて喜びを感じる」という人もいらっしゃいます。損得感情で判断する方もいらっしゃるでしょうし、今日と明日では違うかもしれません。ジュエリーはお安い買い物ではありませんから、この部分を突き詰めることはとても難しそうですね。
では、交換価値、使用価値両方の高いジュエリーを得るためには。。。。
当店からのご提案
私の仕事はオーダーメイドジュエリーやジュエリーリフォームをご希望されるお客様とお話をし、お客様の満足度の高いジュエリーを作ることです。扱う素材は様々ですし、それにも増してお客様のご希望やご依頼内容も多種多様です。
そんな私がジュエリーを購入されようとしているお客様、オーダーメイドやリフォームを検討していらっしゃるお客様にアドバイスできるとことを、僭越ながら羅列してみました。
ジュエリーだけを見ない
そのジュエリーの「わー!綺麗」に惑わされず、ぜひ装着している自分の姿を想像してみましょう。
肌の色やファッションと合っているか、自分のTPOやライフスタイルに適しているか、他のジュエリーとの相性はどうか、など冷静に判断しましょう。
またジュエリーに関して、時にとても凝り固まった考えに支配されているお客様をお見受けいたします。例えば私はイエローゴールドしか似合わない、幅が広いリングは絶対に似合わない、このデザインしか似合わない等々、凝り固まった認識のままでは、楽しみやファッションの幅は広がらないのではないでしょうか。たまにはお友達やパートナー、アドバイザーの意見にも耳を傾けてみてください。「へー、私ってこんな物も実は似合うんだ」なんてこともあるかもしれません。
最後は是非ご自分で決断していただきたいと思います。店員さんに勧められたから、セールだったから、といった理由で購入を決めると、結局は満足いく買い物にはなりません。
素材選びは慎重に
特に色石などのセンターストーンを購入する時は、書籍やインターネットなどで勉強してみれはいかがでしょう。どんな特徴があるのか、どこで採掘されるのか、など調べるうちに歴史や雑学も知ることができるので愛着も湧くかもしれませんね。もちろん価格が妥当であるのかも分かると思います。
余談ですが最近は新しい石や珍しい石も多く、私もお客様に教えていただくことも多々ございます。日々勉強ですね。
話は戻り、センターストーン以外の素材、特にメレダイヤの品質はどうですか?
私は特にメレダイヤの品質にこだわっておりますが、捨てる所のないジュエリーですので10年後20年後にジュエリーリフォームをする際、ここでの選択が生きてきます。低品質のメレは再使用出来ない、とお考えください。
●ジュエリーリフォームに私が綺麗なメレダイヤを使用する理由(コラム記事)
誰から買うか?
一番大切な点です。再び山口遼先生登場。先生がおっしゃる『三位一体の法則』をご紹介します。
①『店の店主』と、その店主が良いと思って集めた②『ジュエリー』と、それを買う③『お客』の3つは、どれもが同じである。つまりその三者のレベルは完全に一致するという法則だそうです。「あ、やだな」と思った店主が素晴らしい商品を集めることはないし、「わ、付き合いたくないな」と思う客がいる店に、見事な社長や店員、良い商品があるということは絶対にない、ということだそうです。
手厳しいですがあながち嘘ではないな~と思うと同時に、襟を正すところです。
素敵なジュエリーを手に入れる時には素敵な思い出も一緒に得たいものですよね。どんなに素敵なジュエリーでも嫌な思いをしては台無しになってしまいます。
商品をよく観察しよう
商品を手にとってよく観察してください。地金が薄っぺらすぎるとか、メレダイヤが汚いとか、こんなことは簡単に素人でも見破れるはずです。宝石店の過剰なライティングにご注意ください。
安物なのに高価に見せよう、つまり過大な広告やセールストークにもご注意ください。
オーダーメイドやリフォームをする際は出来上がった商品を事前に見ることが出来ないので、発注時に詳細まで質問し納得してから進めてください。
皆様が素敵なジュエリー(満足度、使用頻度が高い)を手に出来ますように!
山口 遼氏 - 株式会社ミキモト常務取締役、ジェムインターナショナル社社長を務めた後、コンサルタントとして宝石小売業への教育訓練、宝石学校の講師、公演、執筆活動もされている。宝石関係著書多数
●私が「綺麗なメレダイヤ」を使う理由
●ジュエリーリフォームする価値はありますか?
●成功するジュエリーリフォーム
●「ジュエリーリフォーム」から「ジュエリーリモデル」へ
●ジュエリーリフォームしたら鑑定書を取りなおさなくてはいけないの?
●ジュエリーに使用する金属(地金)
●地金は溶かして再利用しない?
●ジュエリー制作/豆知識
●ダイヤモンドプチネックレス/チェーンの取り付け方(こだわり)
●婚約指輪を買う前に。ダイヤモンド選びのポイント
●ダイヤモンド基礎知識/おさらい《4C’s》
●4Csは知ってるけど…..5番目の『C』って何?
●指輪のサイズの決め方
●ジュエリーの工房/職人