メレダイヤの品質。私がジュエリーリフォームに『綺麗なメレ』を使う理由(c22)

ジュエリーリフォームで綺麗なメレダイヤを使ったプラチナのシンプルな指輪

メレダイヤとは?

『メレ(melee)』とは宝石の大きさを表す言葉でフランス語で『小粒石』、つまり小さめの宝石のことです。

主にメインの石を引き立たせるための脇石として使われますが、メレを複数敷き詰めた『パヴェ』やリングの全周にとぎれなくメレを並べた『エタニティリング』など、メレが主役のジュエリーも大変人気があります。

『メレダイヤ』と呼ばれるのは、0.08ct以下のブリリアントカットの丸形のダイヤモンドです。
それよりも大きい0.18ctぐらいまでの物は『ラージメレ』。
0.08ct以下でもブリリアントカットではない物は、それぞれカットの呼称(バゲット、プリンセス、テーパー、カレ)で呼ばれます。

GIAにも『メレ』の定義はありますが「0.2ct以下を『メレ』と呼ぶ」など現状にそぐわないため、ここでは省略します。

メレダイヤは『くずダイヤ』?

さて、お客様の中にはメレダイヤのことを『くずダイヤ』などと呼ぶ方がいらっしゃいますが、けっして屑なんかではありません。
小粒と言えどもダイヤモンドです。
どんなに小さなダイヤモンドでも大粒ダイヤと同じだけのカット面の数がありますので、丁寧に研磨された品質の良い物はキラキラと輝き、ジュエリーに『華やかさ』をもたらし、とても重要な役割を果たします。

反対に全く輝かない低品質のメレダイヤを使ったジュエリーを見ると、とても残念な気持ちになってしまいます。
このような商品のせいで『くずダイヤ』なんて言葉が生まれてしまったのでしょう。
ジュエリーリフォームの現場でそういったジュエリーに出会うと非常に残念な気持ちになります。

「全部で◯◯カラット!!」なんて売られ方をしている安価な商品によく見受けられますのでご注意くださいね。
通販もよろしいですが、現物を見なければ細かな品質まではなかなか判断がつかないものです。

ジュエリーリフォーム時に使うべき綺麗なメレダイヤの選び方

メレダイヤには鑑定書は付いていない

さて、小さいメレダイヤでも品質がとても大事だということがご理解頂けたかと思います。

ですがメレダイヤ一粒ずつには鑑定書は付いていません。
鑑定することは可能なのですが、メレダイヤの数だけ鑑定代を支払っていてはとても高額になってしまい現実的ではありません。

では消費者は何を頼りにメレダイヤの善し悪しを判断したら良いのでしょうか?

ネットショップなどでは、メレダイヤの品質をA、B、Cなどのランクで表しているのを見かけます。
しかしこれは業界で認められた評価基準では無く、その店独自の基準です。
ですからAランクがどの程度の物かは分かりませんし、Aランクであればどの店でも同じということでもありません。

『AランクはVSクラス』と説明しているショップもありますが、これも曖昧な表現です。
『VS』とはダイヤモンドの評価基準である4Csの内の『Clarity(クラリティ:透明度)』について「内包物やキズがほんの少しだけある」という意味です。
「そのネットショップがVSぐらいと判断したものを使用している」ということになりますが、その判断は正しいのか?妥当なのか?ということになります。

またダイヤモンドの美しさはクラリティだけでは決まりません。
カットやカラーも重要なポイントです。
小さなメレダイヤに対しこれらすべての要素を踏まえて正しく品質判定することは、熟練者であってもとても難しいことです。
(参考コラム:おさらい”4Cs”【ダイヤモンドの基礎知識】(c02)

制作者側の心理

もしもお金儲けだけを考えている制作者なら、「どうやって安く作ろうか?」とあらゆる工夫(?)をするでしょう。

地金を薄く、時間の掛からない簡単な製作方法で、そしてメレダイヤの質を下げる。

ですが、実はメレダイヤの品質を落としてもそれほど安くなるわけではありません。
それでも安さを追求し、光らないメレダイヤを使ったジュエリーが巷には溢れています。

また反対に、必要以上に質を追求しすぎたメレダイヤも使う必要は無いというのが私の考えです。

『ハート&キューピット』などにリカットされたメレダイヤもありますが、そこまで求めなくても美しく輝くメレダイヤはありますし、何より非常に高額です。
顕微鏡や特殊な器具を使わなければ分からない領域にまで質を求め、その結果お客様に高い代金をお支払い頂く。
それは何か違うのではないか?と私は思うのです。

制作者を信頼できますか?

結局のところメレダイヤの良し悪しを判断する決め手は、制作者を信頼出来るか?ということだと思います。
『ジュエリーは人から買う』と言いますが、どれだけお客様のことを思ってくれる人から買うか?
これに尽きるのでしょう。

かくいう私は、「出来上がりが数倍も美しくなるのだからなるべく質の良い物を。きっとお客様もそう選択されるはず!」と信じ、お客様に不要なご負担のない範囲でかなりこだわって選んでいます。
何より、自分が一生懸命デザイン・製作したジュエリーに品質の低いメレダイヤを入れる気持ちになんて、これっぽっちもなりません。

メレダイヤの綺麗・汚いはジュエリーを手にした後、使い始めてからはっきり分かります。
「ああ、制作者は本当に綺麗なメレダイヤを使ってくれたんだな・・・」
そう思ってジュエリーを愛でて頂ければ、これほど光栄なことはありません。

いつ見ても輝いている綺麗なジュエリーには癒されます。
エネルギーをもらえます。
笑顔になります。
どうかあなた様も、キラキラと煌く美しいジュエリーを手にして頂けますように!

メレダイヤ選別装置

【2018年、日本におけるメレダイヤの最新情報】
非常に残念なことですが、現在日本に輸入されているメレダイヤの1〜2%に合成ダイヤモンド(*1)やHPHT処理(*2)の可能性のあるメレダイヤが含まれているそうです。
詳しくはコラム:メレダイヤのスクリー二ングについて(c31)を御覧ください。

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