エレクトリックブルーの輝き!パライバトルマリン(c40)

カラーバリエーション豊富なトルマリン

トルマリンという鉱物はさまざまな色で出現しそれぞれとても魅力的ですが、その中でも鮮やかなエレクトリックブルーの『パライバトルマリン』の人気は別格です。何故こんなにも人気があるのでしょう?その謎を解き明かす前にまずはトルマリンの説明から。

トルマリンは和名で『電気石』。その名の示す通り帯電性があり熱したり(焦電効果)、圧力をかける(圧電効果)ことによって電気を帯びる他の宝石には見られない特徴があります。堅さは”7〜7.5”。サファイヤやルビーは”9”、水晶は”7”ですから水晶より少し堅いぐらいです。トルマリンはその色合いごとに宝石名があり、化学組成や特徴もかなり異なります。ここで面白い物をいくつかご紹介いたしましょう。
トルマリン、ウォーターメロン
スイカのように中は赤く外側は緑色のその名もずばり『ウォーターメロン』。トルマリンは筒状の結晶なので、どこで切っても同じようにこの『スイカ色』が出ます。まるで金太郎飴みたい!
トルマリン、キャッツアイ
石の表面に猫の目のような光のラインが現れる『キャッツアイ』。石の中にチューブ状の内包物があると現れます。その仕組みはサラサラの髪に現れる『天使の輪』と同じ。トルマリンは束ねた髪の毛のような筋状の結晶構造になっています。その筋状のラインに直角に現れる光の反射が、猫の目のラインのように見えるのです。
バイカラートルマリン
ひとつの石に2色が同居する『バイカラー』。赤と緑、その濃淡、またデザインによって個性的なジュエリーになるでしょう。

トルマリン、ルベライト
トルマリン、インディゴ

赤に近いピンク色の『ルベライト』。大きくて色の濃い照りの良い物が人気です。そして藍色の『インディゴライト』。深い青が美しく、青味が強ければ強いほど希少性があります。

パライバトルマリンはこんな石

さてさて本題の『パライバトルマリン』です。
パライバトルマリンは宝石の中では新人で、デビューしたのは1989年。アメリカアリゾナ州ツーソンで行われた『Gem and Mineral Show(世界最大級の宝石展示会)』に初めて出品され、たった5日の間に価格が25倍も跳ね上がったという衝撃のデビューでした。
(余談ですが、1989年といえば私がGIA G.G.(米国宝石学会鑑定士)の資格取得のためアメリカで勉強していた頃。ツーソンのジェムショーにも訪れたことを良く覚えています。)

その後ブラジル、パライバ州近辺で次々と鉱山が発見され、パライバトルマリンは消費者の元へも届くようになりましたが、この頃にはツーソンの展示会で初めて付けられた価格の250倍に!
その後、近隣のレオグランデ州でも鉱山が発見され、2000年に入りナイジェリア、2005年にはモザンビークでも産出されるようになりましたが、供給状態は常に不安定で現在でも高い価格で取引されています。
そんなわけで色・照り・透明感がありサイズの大きなパライバトルマリンは、投資価値のある物として人気は高まる一方。映画俳優のトム・ハンクスもパライバトルマリンを大量にコレクションしている、なんて話も聞かれます!

パライバトルマリンの魅力は何と言ってもその色にあるのではないでしょうか?どの宝石にもないこのエレクトリックブルーは酸化クロムと銅によるもの。酸化クロムが多ければブルー寄りに、銅が多ければグリーン寄りになります。しかしこの2つの元素はあまり仲が良くないのです。それが奇跡的に混在することで生まれる微妙な色のバランスに人々は魅了されるのでしょう。お好きな色合いはそれぞれ違うと思いますが、私評としては多少ブルーが勝っている方がパライバトルマリンらしいと感じます。

今までは『小さくても存在感のある石』と言えばルビーやブルーサファイヤでした。しかし「青や赤は飽きた、好きではない」という方に”パライバブルー”は新鮮に映ることでしょう。色や照りが強烈でとても力のある石ですから、カラットの小さな物でもデザインによっては高級感あふれるジュエリーになります。

大人気のパライバトルマリンは、今も『需要>供給』状態です。ですから「これぞ!」と思う石に出会ったら迷わず掴んでください!そして「これぞ!」と判断できるようになる為たくさん石を見て、そして信頼できる供給者から購入してください。
もしジュエリーに仕立てることをお考えならば、デザインにまで思いを巡らして選びましょう。その際はぜひGIA GG(米国宝石学会認定宝石鑑定士)でありジュエリーデザイナーでもある私にお手伝いさせてくださいね!