この度、日本リ・ジュエリー協議会のジュエリーリモデルカウンセラー1級試験にて、面接試験官を務めさせて頂きました。
その時に感じたことや考えたことなどを書きたいと思います。
ジュエリー・宝石業界において『モノを作り変える』という発想のリフォーム業は、『物を仕入れて売る』というビジネススタイルがほとんどだった業界において、実は新しい業種です。
世の中の景気が良く、物がどんどん売れた時代はそれで良かったのです。しかしバブルが崩壊しジュエリー業界は大打撃を受けます。
そこで活路として見出したのが、作り変えで宝石に付加価値を付けるというリフォームやオーダーメイドです。
成功モデルがあったわけではないので、取り組んでいた業者はそれぞれのやり方で暗中模索しながらやってきたと思います。
私もその一人です。
ですから2010年に日本リ・ジュエリー協議会が立ち上がり、その定義などを整理・発信して下さったことはとても意義があったと思います。
ですが協議会発足当時に役員理事の方とお話しした事で、今でも気掛かりに思っていることがあります。
なぜ協議会では『リフォーム』ではなく『リモデル』という単語を推奨するのか?ということについてです。
2010年当時『リフォーム』という言葉はすでに一般的でした。反対に『リモデル』という言葉はほとんど使われていなかったように思います。
そこで協議会の方に質問したのですが、その時の答えは「英語圏での理解は”remodel”だから」とのことでした。
果たして本当に英語圏では”remodel=ジュエリーを作り変えて違うデザインにする”という概念でしょうか?
結果として今ではネット上の検索ワードとして『リモデル』と『リフォーム』の同じことを表す言葉が2つ存在しており、これが少なからずユーザーにも業者側にも混乱や無駄をもたらしているように感じます。
ビッグキーワードが2つあるということは、ネット社会においてはとても不利益なことです。これが業界発展の足を引っ張ることになっていないか?、現在においても釈然としない気持ちは否めません。
さて前書きが長くなりましたが、面接官を終えての感想です。
歯に衣着せず正直に申し上げますと、
「1級の合格者でもそのスキルや経験値に非常に差がある」と感じました。
協議会としては裾野を広げることによって全体のパイが広がれば、との狙いがあるのかもしれません。
ですがお客様にとっては大切なジュエリーを委託するわけですから、依頼するカウンセラーによって出来上がりの良し悪しや満足度に大きな違いが出てしまうことは決して良いことではありません。
「なんだ、リフォームってこんなもんか。これならやっぱり既製品を買った方が良かったな」
そんなことになってしまっては元も子もないのです。
ですから今後の協議会には、個々のカウンセラーの力を上げるための取り組みを期待しています。例えばカウンセラー同士の情報交換会や勉強会の開催など、微力ながらお手伝い出来ることがあれば嬉しいです。
以上、長くこの業界にいる者として率直に書かせて頂きました。
これからの協議会が担う役割に期待し、更なる発展を祈念いたします。
店主(2019.6月末日)