今日は少し硬いタイトルです。

日々お客様と接していて感じること。これは当店が、オーダーメイドジュエリーやジュエリーリフォームに特化しているからかもしれませんが、『こぞってブランドに走っていた時代は終わったのかな。。。』と。現に銀座に軒を並べる海外ブランド店の売り上げは、減少傾向にあるとか。

一体、お客様の心の中でどういうことが起きているのでしょう?
また、どうやって納得のいく、失敗のないジュエリーを手にするのでしょうか?

そもそもジュエリーの「価値」とは何なのでしょう? ジュエリーの季刊誌の『BRAND JEWELRY』の中の山口遼先生(*)の記事の中に、とても分かりやすくこのことが記述されておりましたので抜粋します。
ジュエリーの価値には二つの側面があります。ひとつはそのジュエリーを交換または売りに出した場合の価値、つまり交換価値(評価額)です。もうひとつは、そのジュエリーを使った場合に得られる使用価値です。これは人それぞれですが、所持、使用することによって得られる喜び、満足度ということです。

私なりに解説してみると。。。

交換価値のあるジュエリーとは、どのようなものでしょうか?

まず『使用してある素材に価値のあるもの』です。色石であれば、素晴らしい色であるとか、サイズが大きいとか、レアであるとか。その品質を保証するものとして鑑定、鑑別書があります。そして、そのジュエリーのデザイン性が優れている、アンティークなどの作家物である、などの付加価値の部分になります。

では使用価値のあるジュエリーとはどのようなものでしょうか?

これは本当に様々です。満足度は人それぞれ違いますから、「自分が好きであれば良い」という人もいれば、「人に認められて喜びを感じる」という人もいらっしゃいます。損得感情で判断する方もいらっしゃるでしょうし、今日と明日でも違うかもしれません。ジュエリーはお安い買い物ではありませんから、この部分を突き詰めるととても難しそうです。

私は日々、オーダーメイドジュエリーやジュエリーリフォームをご希望されるお客様と接していますが、扱う商品やルースなどのアイテムは様々ですし、それにも増してお客様のご希望やご依頼も多種多様です。そんな私がジュエリーを購入されようとしているお客様、オーダーメイドやリフォームをしようとしていらっしゃるお客様にアドバイスできるとことを、僭越ながら羅列してみました。

まず『デザインだけを見ない』ことです。そのジュエリーがどんなに素敵でも、着けている自分の姿を想像し、似合っているか?、肌の色や、ファッション、TPO、他のジュエリーとの相性など、冷静に考慮してください。
時にジュエリーに関して、とても凝り固まった考えに支配されているお客様がいらっしゃいます。お友達やパートナー、アドバイザーさんの意見も、心を開いて聞いてみてはいかがでしょうか? 私はイエローゴールドしか似合わない、幅が広いリングは似合わない、シンプルな洋服にはシンプルなジュエリーしか似合わない等々、凝り固まった認識のままでは、楽しみやファッションの幅は広がらないのでは?と思います。
ですが、最後は自分で決断しましょう。店員さんに勧められたからとか、セールだったからといった理由で購入を決めると、結局は満足いく買い物にはなりません。

素材選びは慎重に。特に色石などのセンターストーンを購入する時は、書籍やインターネットなどで勉強しましょう。どんな特徴があるのか、どこで採掘されるのか、調べるうちに歴史や雑学も知ることができますし、もちろん価格が妥当であるかが分かります。比較検討を忘れずに! 最近は新しい石や珍しい石なども多く、私も日々勉強しておりますが、お客様に教えていただくことも多々ございます。

センターストーン以外の素材、メレダイヤはどうですか?メレダイヤは綺麗なものを使用することをお勧めいたします。捨てる所のないジュエリーです。10年後20年後にジュエリーリフォームをする際、ここでの選択が生きてきます。低品質のメレは再使用出来ない、とお考えください。

一番大切な点です。これは先の山口遼先生も仰っているのですが、
『誰から買うか?』ということです。先生曰く『三位一体の法則』。『店の店主』とその店主が良いと思って集めた『ジュエリー』とそれを買う『お客』の3つは、どれもが同じである。つまりその三者のレベルは、完全に一致するという法則だそうです。「あ、やだな」と思った店主が素晴らしい商品を集めることはないし、「わ、付き合いたくないな」と思う客がいる店に、見事な社長や店員、良い商品があるということは絶対にない、ということです。と、これは私が言っているのではなく、山口先生が仰っていることですが、あながち嘘ではないな~と思うと同時に、襟を正すところです。
安物のくせに高価に見せようとか、地金が薄っぺらすぎるとか、メレダイヤが汚いとか、こんなことは簡単に素人でも見破れます。商品を手にとってよく観察してください。オーダーメイドやリフォームをする際も、詳細まで質問し、納得してから発注してください。

山口 遼氏 - 株式会社ミキモト常務取締役、ジェムインターナショナル社社長を務めた後、コンサルタントとして宝石小売業への教育訓練、宝石学校の講師、公演、執筆活動もされている。宝石関係著書多数