ひとくちにジュエリー職人と言っても、いろいろな職種があります。今回のコラムでは、ジュエリー・宝石の工房や加工職人について書いてみたいと思います。

職人の種類

①手造り職人

基本的に鍛造金属加工職人です。地金の固まりを叩いたり延ばしたりしながら基本部を成形し、石が座る部分やその他の装飾部分などをロー付け削りだしながらデザイン画通りに仕上げます。石留めも行います。紙面上に表現されたデザインを立体的に作りこんでいくので技術はもとより、センスが問われる職種です。また石留めも非常に難しい作業で経験が問われます。

②ワックス職人

鋳造に適したワックスを造形する職人です。鋳造と言うと大量生産時に使用するイメージがありますが、「鋳造工法で造った方が手造り工法よりも美しく出来る」と判断した場合、たった一点の制作でも依頼する場合があります。手造り職人と同様に芸術的センスが必要で、技術とセンスの両方を併せ持つ職人はとても貴重な存在です。

③座加工/組み立て職人

量産商品のセンターストーンの簡単な石座を作ったり、キャストパーツを組み立てたりする職人です。『準手造り職人』とも言えます。以前のように大量に作る商品が少なくなってきている昨今、この職人の数は減少傾向にあります。

④彫り留め職人

『タガネ』と言う道具で金属を彫り起こしながら、座や爪を形成し石留めする職人です。『彫り留め』と一口に言っても数々の種類があり、熟練度が出来栄えに如実に現れます。また平らな地金上に色々な彫り柄(蔦柄、洋彫り、ハワイアン柄など)を表現する職人もいます。

⑤仕上げ職人

鋳造された商品の仕上げ作業のみをする職人です。

⑥CAD技術者

コンピューターを使ってデザイン画を3Dに図面作成していく技術者です。原型出力し鋳造された物は、仕上げ職人等の手を経て、最終的に金属のジュエリーとなります。

⑦修理職人

サイズ直しを始めとする各種修理専門の職人です。あらゆるジュエリーに対応するため、経験がとても必要な職種です。

ジュエリー造りに携わる者として

ジュエリーは機械ではなく人が造るものですから、『誰(どこ)に頼んでも同じ』ということはありません。職人や工房ごとに得意不得意、技術や経験の差があり、それらは必ず作品に現れます。真面目に丁寧に作られた物、気持ちが入った物かどうかも、出来上がりを見れば分かります。ですから私たち発注者には、それを見抜く力が必要です。

私は今までたくさんの職人と接してまいりました。その中で、本当に語り尽くせないほどたくさんの出来事を経験し、ひとつの答えを得ました。それは『ジュエリーの出来栄えにとって、【職人との信頼関係】は非常に重要な要素である』ということです。

発注者の知識や経験によって、トラブルを限りなくゼロにすることはできると思います。しかしそれだけでは十分でありません。知識や経験を活かすためにも、お互いの間にしっかりとしたコミュニケーションがあることが大切です。微妙な曲線など一言では伝えきれない事もしばしばあります。そんな時、発注者と職人とがお互いを尊重しつつも妥協せず、粘り強く話をする・話を聞くことができるか?ということは、本当に重要なことだと思います。