『世の中少しは景気が上向いた』という話もありますが、嗜好品であるジュエリーの業界が良くなるのは、まだまだ先の話・・・というか、バブルの頃のようにジュエリーがバンバン売れる、なんてことはもうないでしょうね。あの頃の状態の方がおかしかったわけで、ある意味、今が正しい状態なのかもしれません。

20年前の東京の東上野・御徒町界隈は、どこをみても宝石関係の業者ばかりでした。しかし今は、以前宝石店だった所は飲食店や美容院に取って代わり、昔の活気は見られません。 私の知り合いの業者でも、景気の良い答えを返してくれるところは、ひとつもありません。

そしてなんといっても目に付くのが、淡水パールや半貴石の連を取り扱った店の増加。 こんなに同じような店が増えちゃって売れるの?と思っていましたが、その数は増える一方。やはり今は高いものは売れず、アクセサリー感覚のこういったものが売れるのでしょう。概観はそんな感じの御徒町界隈です。

何を売っても売れたバブル期の日本。未来は明るく、新卒のOLさんが初任給で『ファーストジュエリー』と称してジュエリーを買っていた時代。その頃は「ジュエリーは誰にでも買える」という感覚がありました。けれど物品税という税金があったので、この税金の掛からない37,500円以下の安いジュエリーばかりが売れました。

そして今のジュエリー業界の低迷。バブル崩壊のせいばかりとは言えない気がします。安いジュエリーばかり作っていたあの時代、ジュエリー業界はお客様のために、”本当に良いもの”を提供する努力をしていたんだろうか? ひいては、自分達の業界を本当に愛していたんだろうか? 今、そのしっぺ返しを食っているような気がしてなりません。

さらにインターネットの普及。メーカーや輸入業者から直接買い物が出来る時代になり、メーカー→卸→小売という構図が壊れてしまいました。業界関係者しか入れないはずの国際展示会場にも、一般の人がたくさん入り込んでいます。これって自分達で自分達の首を絞めているんじゃないだろうか?と疑問に思います。

情報はネットで調べればすぐ分かります。けれど「電化製品をどこで買えば一番安く買えるか?」というような買い方とは違うと思うんです、ジュエリーは。なぜなら宝石は、世界中に同じ物は1つとしてありません! 値段だけで比べるなんて、とても残念な選び方です。

しかし私も、こうしてホームページを持っています。『宝石は”人”から買う』とよく言われますが、だとしたら私のようなサービスを提供している者にとって、東京から発信して、遠く離れた人と接することが出来る唯一の手段であるインターネットは、やはり素晴らしい物。インターネットの功罪については、一概に言えません。

ジュエリーは、そんなに頻繁に買うものではありませんよね。一生のうちに何回かある記念日や、親から子へ贈ったり贈られたり、大切な人へのプレゼントだったり。意味や想いを込めて買い、ジュエリーを見る度にそれを思い出すのです。だからこそ、どうか失敗のないステキなお買い物をしていただきたい。

そしてちゃんとした『宝石の文化』が、日本に根付きますように!

この業界に長くいるうちに、たくさんの汚い話や、「えっ?!?!」という儲け話も聞きました。なので時々、この業界にいることが、無性に嫌になることがあります。私のような性格の者は、合わないんじゃないかしら?と・・・

でも、たくさんの人と知り合えるのは魅力のひとつですし、お客様が喜んでくださった時は、この上なく嬉しいのです。だから今日も、この仕事を続けています。

ご批判もあると思いますが、生意気に色々書いてしまいました。